プラレーラ―さんやプラレールコレクターの方々にとっては、
比較的馴染みのある絶版パーツである「大曲線レール」は、
玉数が多く入手もしやすい反面、あまり研究をされた方が少なく、
また、絶版のプラレールセット内にもあまり含まれないという、
不思議なレールのように思います。
明確に「大曲線」レールの使用目的が解明されていない感もある
大曲線レールですが、まず公式用途の根拠と、
現在(2019年)にまでその寸法が影響を受けている点についてご紹介します。
目次
「大曲線レール」レールの公式用途
「大曲線レール(絶版)」は2019年現在の現行プラレールパーツとは、
寸法系が異なるプラレールグリット(216mm)に合わないパーツ設計です。
現物比較は多くの方がされていますが、
以下のように、曲線レール < 複線外側曲線レール < 大曲線レール と、
複線外側曲線レールよりも、少し半径が大きな曲線になっています。
ですが、以下を見ての通り、外側曲線レールに密着させると、
接続位置が少しずれ、長さが足りていないことが分かります。
これは、外側曲線レールと大曲線レールは、
物理的に重なる半径になっている事を示しています。
今回、大曲線レールを調べた結果として、
以下の様な寸法(理論値)であると弊サイトでは結論付けています。
理論上は、外側曲線と大曲線は3mm程度重なることになります。
尚、大曲線レール自体、製造からかなりの年数が経過しているばかりか、
レール軌道が、ザラザラ仕上げのレールと、
ギザギザ仕上げのあるレールが存在することからも、
複数の金型で製造されていたことが分かります。
この寸法値はあくまでも理論上の設計目標値として算出しましたが、
手元のレールを実測しても、おおよそ小さい方向に寸法が変化しているはずです。
プラスチックが経年変化で縮んだり、変形していることが原因と思われます。
さて、ではこの現行グリットに全く合っていない「大曲線レール」が、
当時どのように使われることを目的として、生まれたのかを確認します。
私はプラレールのコレクターではありませんので、
皆様の英知をお借りして、公開済みの画像から読み取らせて頂きました。
トミー「電動プラレールデラックスセット(1964)」の公式レイアウトで大曲線採用実績あり
トミー「電動プラレールデラックスセット(1964年)」は、
今から、60 年前 に発売されたプラレール豪華セットです。
自分が子供なら、憧れてしまいそうなデラックスなセットです。
この「デラックスセット(1964年)」の箱には、
サンプルレイアウトが紹介されています。
その中に今回の「大曲線レール」と「Y字ポイントレール(廃版)」を
利用したレイアウトが紹介されています。
まさに、これが大曲線レールの公式な使用目的といえるでしょう。
基本は分岐を双方に向けて、島式の駅を置く複線レイアウトですが、
その複線のレイアウトのまま、カーブしてレイアウトさせる時に、
使われているのが「大曲線レール」なのです。
以前、Twitterでお世話になっている「なゆほ」さんが、
画像で紹介して下さっていた用途は、公式用途に合致していると言えます。さすが!
@ai_prarator 大曲線レールですが、規格上はY字レールに曲線を繋げた状態で再び単線に戻す時に使うレールだったようです。他の用途は不明です。 pic.twitter.com/Rhz1klvgvN
— なゆほ (@Nayuho6866) 2018年11月22日
ちなみに「なゆほ」さん所蔵の絶版プラレールに関してのご考察や、
貴重な所蔵品(一部でしょう)はブログで紹介されています。
これによって、「大曲線レール(絶版)」と、
「Y型ポイントレール(絶版)」の用途は推測ができました。
「大曲線レール」と「曲線レール」の半径の差は、
上記の図では「9.5cm(95mm)」と表記しています。
これには現行パーツの中に現在も95mmの名残が残っている為です。
現行(2019年)に残る「大曲線レール」寸法値
現行のプラレールグリットを採用している216mmユニット内にも、
実はこの95mmが残っています。
誰でも、一番簡単に見つけられる寸法が、橋脚です。
ブロック橋脚(ミニ橋脚)に残る95mm
ブロック橋脚やミニ橋脚を物差しで測ってみると、
横幅が95mmである事が分かります。
これは先日Twitterでお付き合いさせて頂いている方より教えて頂いたのですが、
その方は幼少期に、大曲線レールで高架レイアウトを
作られていたという記憶があるとのお話でした。
あと、複線外側曲線が出る前に、単線橋脚を2つ横に並べて高架曲線を作ると曲線と大曲線で半径がぴったりだった気がします!
— てつきち@マリア (@Plumeriakoko) 2019年1月16日
これによって弊サイトで作成した図が以下になります。
設計概念上、橋脚が0mmで当たっている状態になっていますが、
大曲線レールと曲線レールで作る複線レイアウトで、
橋脚がぶつからないギリギリ寸法で設計されているのが読み取れます。
「車両車庫(絶版)」に残る95mm
これは既に絶版になっていますので「残る」という表現は正しくありませんが、
旧タイプの「車両車庫」が手元にあるようでしたら、
その車庫の幅は95mm設計になっているはずです。
以下のように、橋脚と一緒においてもピッタリ寸法になっています。
こちらは以下でご紹介した寸法になります。
そして現行パーツの中で影響が大きくも、
この写真に写る通り95mmを採用している車両基地がある訳です。
「車両基地」に残る95mm幅分岐
上の写真にある通り、車両基地に含まれている
ダブルターンアウトレールは95mmの幅で、レールが分岐しています。
このターンアウトの分岐には一番悩みましたが、
敢えて、95mmを採用して、曲線レールの分岐と大曲線レールの分岐で、
2重円弧を使ってのレイアウトを組むことができるように、
車両基地が設計されていることが分かりました。
詳細な続きの説明は以下になります。
公式で採用されているレールの取り回しが、
トミー社(現:タカラトミー)が採用していた事実が決め手となりました。
後は、その取り回しを使って、
様々なレイアウトを行うことができバリエーション豊かなレイアウトが作成できます。