「おうふくプラレールそうしゃじょうセット」は、
「プラレール博物館」様の記述によれば1975年頃(49 年前)発売のセットで、
往復機能付きのプラレール車両(ED-70)やターンレールといった、
特殊なプラレール仕様のパーツが含まれるレアなセットです。
このセットの写真で紹介されているレイアウトがとてもマニアックで、
興味深いものでしたので、検証することに致しました。
貴重な「4分岐てんてつき」をお譲り頂いて実現したものです。
この場を借りてお礼申し上げます。
目次
サンプルレイアウト・おうふくプラレールそうしゃじょうセット
さて、まず外箱の写真よりご紹介します。
こちらは「プラレール博物館」様の写真をお借りしています。
おうふくプラレールせんしゃじょうセット(1975年)
これまで、もっぱら積み下ろし系のセットのみに使われていたED-70ですが、それだけでは変化がないと思ったのでしょうか、洗車場と組み合わせたのがこのセットです。ED-70が急行型客車1両を引いて、洗車場を出たり入ったりします。洗車場自体は現在発売されているものと同じですが、ベースが赤で成型されています。洗車場にリターン機能が付いているのは、このセットの為だったのですね。おうふくプラレールが消滅してしまった今でも、洗車場にはリターン機能が残っています。ちょっとさみしいですね。
レイアウトを読み解く
プラレール博物館様の画像では、詳細が読み取れませんでしたので、
別の画像を探し、含まれているパーツを確認しました。
元は「ヤフオク!」に出品された商品の画像のようですが、
既に該当ページは確認できないようですので発リンクはしておりません。
- 機関車(ED-70)… 1両
- 無ガイ車(無蓋車)… 1両
- 有ガイ車(有蓋車)… 1両
- てんてつき … 1コ
- 曲線レール … 8本
- 直線レール … 5本
- 1/2直線レール … 4本
- ターンレール … 3本(往復機能付き直線レール)
- ターンアウトレール … 1組(2本)
- スイッチターンレール … 1本(往復機能切り替え機能付き直線レール)
- 車止め … 3コ
- 信号所 … 1コ
- 歩道橋 … 1コ
- 車庫 … 1コ
- 架線 … 4本
- 信号 … 2本
- ジョイント(スペア―1コ) … 2コ
(出典)「ヤフオク!」
この写真からは、レイアウトとして少し微妙そうだなぁという点が、
あちらこちらに見えています。
左右の曲線レールの間を「直線レール」で試行
左右の曲線レールの間に入っているレールが、
撮影の角度的に、1/2レールに見えますが、直線かもしれないと、
まず、直線レールで試してみます。
現行品の「信号所」とは異なり、接続が「凹凹」になっている旧タイプです。
その為、検証では凹凸変換の位置は、サンプル画像と異なります。
また、ターンレール・スイッチターンレールなど、往復機能に関わるレールも、
入手がかなり困難で一般的なレ―ルではありませんので、
弊サイトではパーツ化を見送ります。
ストップレールや直線レールで表現しています。
どうも長さが足らず、1/4直線レールが必要になりそうです。
ただ、このセットには1/4直線は含まれていません。
セットに同梱パーツで組み立てる事ができませんので、これは違う事が分かります。
ちなみにこれを図にするとこの位ズレが発生している計算です。
左右の曲線レールの間を「1/2直線レール」で試行
直線レールではないことが分かりましたので、
1/2直線レールに変えて組み立てます。
こちらは、サンプル写真のように所々に歪みが出ている点も、
似た再現ができています。
※ジョイントパーツは持っていないのでつないでいません。
そして、直線レール、1/2直線レールも同梱パーツの数に一致します。
問題ないでしょう。
ですが、実際にこれを図にしてみると、このような状態になるのです。
1本はレールの上に載り上げる程、長さが合わないのです。
サンプルレイアウト
水平垂直にレイアウト図を作図すると、
どうにも合わないと思う組み合わせであるはずなのに、
実際には、再現できていてつながっているレイアウトが目の前にある状態です。
これは、実はこういうことである程度は納得ができます。
「てんてつき」の合流部分のつなぎ目から、
約5度程時計回りに回すと、たった5度ですが、
レールが避けて長さもそこそこの位置にくるのです。
長さこそ、1.2cmほど長い状態になっていますが、
「信号所」のつなぎ目などが歪んで写真にも表れていますし、
概ね似た歪みが、今回の組み立て時にも出てきて再現できています。
ですので、概ねこのレイアウトが、サンプルレイアウトだとして問題ないでしょう。
CG化するとこのようになります。
CADやCGでレイアウト再現をすると、
明らかにこのレイアウトじゃないだろう・・・と思ってしまう程にズレているのですが、
現実にはつなぎ目で、なんとなく回転させて、
レイアウトを成立させてしまうことができるプラレールは、
やはり玩具として、パズルの面白さと、簡単につながる自由性の両面があって、
実に優れた知育玩具だなぁと、こういうレイアウトをみて思います。
2021/01/16:追記
その後、Twitterにて内々に商品パッケージからレイアウト図をご提供いただきました。
ジョイントレールの位置が異なっているだけで、
公式レイアウトとして紹介のレイアウトと相違がないことが確認できました。
協力(Special thanks)
今回、このレイアウト検証の過程で、
なゆほさん(@Nayuho6866)にいつものごとくご尽力いただきました。
- 私も再現したことあるよ!な件
- 信号所が凹凹なのは、建屋をレイアウト外側から操作できるようにしたんじゃないの?件
あとから振り返れるように、埋め込みにてご紹介させて頂きます。
なゆほさんも、1/2直線レールを左右に入れて、
ジョイントピン(凸凸長さ0)を使って再現されています。
「おうふくプラレール そうしゃじょうセット」の配線再現レイアウトです pic.twitter.com/6olR5zYxir
— なゆほ (@Nayuho6866) 2018年2月5日
また「信号所」に関しても、現行の信号所とは異なって、
緑レールで、凹凹、凹凸が存在しているという点もご紹介いただきました。
信号場の例。左が現行型(凹凸)で右が旧型(凹凹)です。レールの凹凸方向に関わらず、また1/4やジョイントを入れずに信号場のレバーを外周側から操作するための構造だと思ってよさそうです。3枚目の接続を現行型で敷くと4枚目のようになるので分かりやすい(?)かと。 pic.twitter.com/5DflmdqN3W
— なゆほ (@Nayuho6866) 2019年1月25日
尚、現行の信号所(J-11)は以下の様に若干デザインも変わっています。
Amazonでのご購入は是非、弊サイト経由でお願いします!(サイト運営費…)
2021/01/16:追記
公式レイアウト画像の提供を「ともさん(@TMSYARYO)」より、
ご提供・ご協力を頂きました。
以下に頂戴したパッケージレイアウトを画像でご紹介しておきます。
本レイアウトが公式のレイアウトになります。
「4分岐てんてつき」を現在のレイアウトで活かす
既に公式で紹介されているレイアウトを、
CADで寸法チェックしたところで「だから?」と思われるかもしれません。
その通りだと思います。
ここからやっぱり活かさないとね。ちゃんとやりますよ。
この「4分岐てんてつき」はちゃんと周回ルートの中に組み込めます。
その寸法調整の仕組み・考え方は以下で詳細にご紹介しています。
こうやって考えるのか!と分かって頂けるはずです。
是非、一度お読みいただけると幸いです。