「車両基地」レールは一見すると曲線レールのターンアウトが、
2つ並んだような設計になっています。
しかしこの「車両基地」には美しい設計が隠されていて、
「大曲線レール(廃版)」を使うと、綺麗に寸法が合うよう設計されています。
その寸法誤差を発生させないレイアウトの考え方についてご紹介します。
目次
「車両基地」レールの寸法誤差のない接続手順と考え方
まず最初にこの「接続手順の考え方」では、
既に廃版になっている「大曲線レール」を使います。
もし「大曲線レール」持っていない、「大曲線レール」を購入する予定もないという方は、
現行の標準レールでもなんとかつながるレイアウトは作れますので、
以下をご参照下さい。
「車両基地」の設計が美しいと私が言う理由は、
廃版レールの寸法を利用している部分はあるものの、
「大曲線レール」さえ手元にあるならすっきりしたレイアウトができると言う点にあります。
最低限、レイアウトを成立させるのに必要な
「大曲線レール」は2本だけなのです。
では、様々なパターンで「大曲線レール」を使ったレイアウトの考え方をご紹介します。
尚、一番簡単な考え方は、上の「大曲線レール2本使い」の記事でご紹介している方法です。
「設計の美学」の方でもご紹介していますが、
「車両基地」は「曲線レール」を1本つなぐと、
「大曲線レール」2本をつないだ時の接続位置の移動距離と同じになるように設計されています。
その点を利用すると、大曲線レールで「車両基地」レールの、
9.5cmズレた接続位置を、別の場所に移動したり、
2本のレールを重ねる位置に調整したりすることができるのです。
「9.5cmズレた接続位置」とは、以下の水色に塗った四角を示しています。
ターンアウトから出た2本の接続部は、
このように大曲線レールを使うと、接続位置を動かすことができます。
内側に曲線レール、外側に大曲線レールを使って、
レールをつないでいくと、180度回すたびに、接続位置が反転して現れてきています。
また、内側外側のレールを入れ替えると、
90度回した部分で接続位置が重なるようになります。
このようにターンアウトから出たレールを、
大曲線レールで取回すと、簡単に接続位置を重ねることができるのです。
重ねることができるのであれば、後は、現行のレールを挿入して、
好きなだけレールの位置を動かすことができます。
以下では、1/2直線や、直線レールを挿入する事で、
縦方向に接続位置をスライドさせています。
接続位置が「1/2直線幅」になればY字ポイントが使える
接続位置が「1/2直線」の間隔になるのであれば、
「Y字ポイント」を使いそれぞれのレールをつなげることができるのです。
問題はここからです。
一旦「Y字ポイント」をつないだレールが合流した接続位置は、
まだ廃版レールである大曲線レールの移動距離の影響を受けている為、
現行のレールでの寸法調整が非常に面倒な状態になっています。(赤点線矢印の移動量ベクトル)
ですので、その先のレイアウトで、
「大曲線レール」の移動距離を、相殺するようにもう2本の大曲線レールを使います。
まず、Yの字ポイントで合流しない場合の取り回しを考えてみます。
レイアウトが成立する為にはもう2本のレールを使いますが、
それが右上の大曲線レール2本です。
左下の移動距離と同じ距離を、右上の大曲線レールで戻し、相殺しています。
これを元にしてY字ポイントが入るように、レールをズラしていきます。
レールをズラしたので、1/2直線分、上にレールがズレています。
次は、Y字ポイントを入れて2本をつなぎます。
Y字ポイントは長さが直線レール1本分ありますので、
横方向にスライドさせて、挿入します。
合流後の接続位置は縦方向に1/4直線分、下方向に移動しますので、
その先のレールも下方向へ移動します。
これでY字ポイントで受けたレールが、
2本追加した「大曲線レール」で元のプラレールのグリットに戻すことができました。
これは、大曲線レール2本を、もう一つの「車両基地」で置き換えても、
当然、寸法成立します。(同じ移動距離ですので)
こうした組み合わせを活用したレイアウトが以下になります。
大曲線さえあれば、どうにでもレイアウトが、
変更できることがお分かりいただけるのではないでしょうか。
車両基地を2個(ダブルターンアウトレール分岐4本)の場合も基本は同じ
ダブルターンアウトレールを2本使って4分岐させた車両基地を使う場合、
この「Yの字ポイント」で寸法調整する方法を2つやるだけです。
縦方向の調整だけを考えれば、レールの開きをどうにでも好きに移動できます。
この組み合わせを利用しているレイアウトが以下になります。
Y字ポイントを、通常のターンアウトにつなぎ合流する
Yの字ポイントにつないだ後、さらにターンアウトで合流させて、
1本のルートにまとめることもできます。
この先の寸法調整も、同じように大曲線レール2本を追加することで、
現行のプラレールグリット上に調整できますので、難しくはありません。
「車両基地」を背中合わせで2つ使ってレイアウトする場合の調整方法
少しターンアウトの使い方を変えて、
車両基地のダブルターンアウトを2つ背中合わせで配置した場合を考えます。
背中合わせで使うと言う事は、
レールの重なる接点から、次の接点までのルートに「車両基地」を使うと言う事になります。
お互いが接点(基準点)になっていますので、
上のルートも、下のルートもそれぞれ同じ移動距離だけ接続部が動いていることになります。
全く同じ距離を移動していますので、
最終的に寸法調整が必要なレールは、同様に「大曲線レール」2本のみです。
以下は、この仕組みを利用して複雑にすべてのレールを繋げたものですが、
結局は2本の「大曲線レール」でレイアウトの調整ができている事が分かります。
最もシンプルな寸法調整の形
細かな説明が不要な寸法調整の形は、以下でご紹介したこちらです。
2本の大曲線レールで調整すべきルートは、
「車両基地」の左から出たターンアウトレールだけですので、
合流しなければ、このようなシンプルな形で成立させることができます。
上に取回すと、右側のターンアウトが取り出しにくくなってしまいますので、
お勧めは下側に取回す方が、後々楽なレイアウトが作れます。
下側に取回して、他の接続部をすべてつないだレイアウト例は以下になります。
大曲線レール2本を最低持っていれば、
「車両基地」のレイアウトが飛躍的に簡単になって、
普段は考えないような寸法調整に頭を使います。
結構楽しめますので「大曲線レール」をオークションなどで探されてみてはいかがでしょうか。
「車両基地」を利用したレイアウトは以下でご確認いただけます。